【感想・見どころ紹介】映画「すばらしき世界」!早くも今年No.1?

【感想・見どころ紹介】映画「すばらしき世界」!早くも今年No.1?

2021/2/16
はしやすめ
オハナ
オハナ

また素晴らしい映画を観てしまった…。

ずーっと楽しみにしていた映画を公開初日に観てきました。素晴らしかった…。どこが?ってことは後ほどじっくり書かせていただこうと思うのですが、とにかく素晴らしい映画でした。それが今回紹介する「すばらしき世界」

監督・脚本は『ゆれる』『ディア・ドクター』などで数多くの映画賞を受賞してきた西川美和監督。主演は役所広司さん。

西川監督の映画は恥ずかしながら『ゆれる』しか鑑賞しておらず勉強不足感は否めないのですが(『ゆれる』は本当に大好き)、「元受刑者の苦悩と更生」というこの作品の重苦しそうなテーマと雰囲気に「私絶対好きなやつだわ~。」と勝手に思っており、
実際観てみたら「本当にこれは今年No.1かもしれない…」というくらい素晴らしい映画だと思ったので、
出来るだけ多くの方々にこの映画を観ていただきたい、そしてこの映画を観た人と感想を分かち合いたい!ということで、今この記事を書いています。興味がある人はぜひ読んでいってね!

ネタバレなし

まずはまだこの映画を観ていない人向けに、ネタバレなしの感想や見どころを紹介していこうと思います。

あらすじ

下町の片隅で暮らす三上(役所広司)は、見た目は強面でカッと頭に血がのぼりやすいが、まっすぐで優しく、困っている人を放っておけない男。しかし彼は、人生の大半を刑務所で過ごしてきた元殺人犯だった。

社会のレールから外れながらも、何とかまっとうに生きようと悪戦苦闘する三上に、若手テレビマンの津乃田(仲野太賀)と吉澤(長澤まさみ)が番組のネタにしようとすり寄ってくる。やがて三上の壮絶な過去と現在の姿を追ううちに、津乃田は思いもよらないものを目撃していく……。

Filmarksより

鑑賞後の率直な感想

観た後の率直な感想は、「苦しいなーーー。」でした。エンドロールの間鼻水ダラダラで泣いて、泣き切ったかなと思ったのに、席を立って車まで歩いている間も、なんだかずっと涙が出る直前みたいに、悔しくて何も言い返せないときみたいにずっと胸がキューっと苦しくて、車に乗ってもまだ「うーん…」と考え込んでしまって中々車を発進することが出来なかった…。

そんな中ふと空を見たら(最近の新潟には珍しく)晴れて青空が見えていて、そこで劇中のあるセリフを思い出してしまって思わず「ウッ」っとちょっと嗚咽が漏れてしまい、そこからもうなんだか止まらなくなって「ウウ~ッ」って感じで少し声を出して泣いてしまいました。

なんでこんなに泣いたのか自分でも説明するのが難しいんですが、辛いことや悲しいことなんて探せばいくらでも出てくるこの世の中で生きていくために、私たちは色々なことを見て見ぬふりをしている訳じゃないですか。それは悪いことでもなんでもないし、社会で生きていくためにはすごく必要なことなんだけど、やっぱりどこか感覚が鈍ってしまっているところがあって、いろいろなことを受け流してしまう癖がついてしまっていると思うんですね。

(例えば、ホームレスのおじさんを見て「こんなのよくいる」と思ってみたり、誰かが差別的な発言をしていたとして、その場の雰囲気を壊さないために「へへへ」と笑ってみたりね。)

でもこの映画の主人公三上はそれとは真逆の人で、良くも悪くも喜怒哀楽の感情をしっかりと出してしまうんですよ。人生の大半を少年院や刑務所で過ごしたため人の優しさや思いやりに触れる機会も少なかったのか、すごく涙もろいし、刑務所に入る前はヤクザだったこともあり、短気で怒りっぽい。

この映画はそのような三上の姿を追うので、普段私たちが見て見ぬふりしてる自分の感情をすごく自覚することになり、非常にしんどかったです。(でもこういう、自分の中に眠っていた感情を自覚させてくれるような映画、大好き!しんどいんだけど同時に、良すぎやん!ありがとう!とも思う。しんど良い!)

そして何より、三上のような「社会のレールから外れた人間」が一生懸命生きようとしている姿を観るのが、すごく苦しかったんですよね。なぜなら彼のような人は、私たちが社会から排除し、知らないふり、見ないふりをしてしまっている存在であるから。

幸運にも三上は出所後周りの人達に恵まれていたけれど、社会経験がなかったり、服役していた過去があったり、障害があったりするととたんに社会から排除されてしまう。でもその人たちだって一生懸命生きているんだよね。優しくて、チャーミングで、素敵な部分だって、きっとあるんだよね。その事実を突きつけられて「ごめんね、ごめんね…。」という気持ちになりました。

いつ自分がそっち側になるのかも分からないのに、その人全体ではなく1部分だけを切り取って評価されてしまう。私たちが今生きているのは、そんな世界。これって本当にすばらしき世界なのか…?

でもやっぱり、この世界には「すばらしい」と思える瞬間も確かにあって。人との繋がり、思いやり、小さな喜び…そのような人間の温かい部分もしっかりと描写してくれていて。それがまた更に泣けました。

何が正しいのか、どう生きていったらいいのか、簡単には答えは出ないしこれからも考え続けないといけないなと思ったけれど、三上のような人が一生懸命生きているという事実は忘れないでおきたいな。

…ここまで読むと非常に重苦しい感じの映画だなと思ってしまうと思うのですが、それだけではなくて!非常にコメディ的なシーンも多い作品です。

私が観に行った回は7~8割席が埋まってるかなという感じだったのですが、客席から笑い声があがるシーンが何回かありました。これは本当に役所さんだからなせる業という感じですね。大真面目なのに、どこか滑稽でわらけてしまう。三上という男は本当にチャーミングで、愛される人だなあと思ったし、大好きなキャラクターになりました!

注目して観ると良いと思ったところ

・三上(役所広司)を撮影するとき、三上の映像を見ているときの津乃田(仲野太賀)と吉澤(長澤まさみ)の表情の違い
・津乃田の服装の変化
・ポスターにも使われているコスモス

…なんだか思ったより少なかった。笑
その他気づいたことがあれば追記します!

ネタバレあり

ここからはネタバレありの感想をお話していこうと思います!

笑えた場面

ネタバレなしの感想でも笑える場面がいくつかあって、実際に劇場でも観客から笑い声が漏れていたと書きましたが、私が劇場で笑ってしまったシーンをいくつか書き出してみたいと思います!

・三上がスーパーの店長に「客とのトラブルがあったら俺に連絡くれ!用心棒やってやる!」的なことを言うシーン

「いやいや、あんた『今度からは堅気ぞ』って言ってたやないか~い。笑」っていうね。そして直前までめちゃくちゃキレてたのに店長と同郷で話が合うと分かってからの三上の変化がほんと面白い。最後にはもうニコニコだったもんね。

・教習所で三上が運転をめちゃくちゃ失敗するシーン

刑務所仕込みの行進の歩き方をする三上と、トボトボと歩く同乗者の男の子のコントラストがもう面白い。そのあとの「受験番号8番!ミカミ、マサオ!出発します!」の大声で、劇場から爆笑が起こっていました。

・仕事が決まったときに「シャブ打ったみたいや!」と言うシーン

「いや、それに例えるんか~い!笑」
満面の笑みで走りながら言うセリフがこれ。三上らしくて本当に愛らしいなと思いました。良かったねえ。

その他にも、三上がミシンを使って手提げ袋を作るシーン、夜に一人で運転免許の筆記試験の勉強をしているシーン、ソープランドのシーン、津乃田が三上の背中を流すシーン、「三上さん就職おめでとう」のケーキのシーンや、元妻との電話シーン…。人の温かさというものをすごく感じられる場面もたくさんありました。

泣いてしまった場面

今回この映画の中で、「ここで泣いてしまったな~」って場面が明確に3つあったので、それを紹介します。どのシーンも格別すぎました。

・三上が離婚した元妻の住むアパートに行き、自分の子ではなく再婚相手との間に出来た彼女の娘と会うシーン

これねえ~。すごいよね。口頭では何も説明しないのに指を折って何かを数えている三上を映すだけで、「ああ、その子の年齢と自分の刑期と照らし合わせてるのか。」って分かる。そして自分の子ではないと分かった瞬間の、あの表情。

それを見て「うわ、やばい。」って涙があふれてきちゃったんだけど、パッと切り替わった次のシーンで夜景を映してて、そしてその夜景がどんどんピントがぼやけていって、それが自分が目に溜めてる涙とスクリーンがシンクロしていっている感じがしてうわーーっと涙がさらに溢れてしまいました。

・三上が自身が育った児童養護施設に赴き、子どもたちとサッカーをして遊んだあと泣き崩れてしまうシーン

これはもう、反則…。施設に行く前の、もうカメラを持っていない津乃田とか、「お袋が帰っていくときはいつもこうやって姿が見えなくなるまで手を振った。」って、まるで子どもみたいな無邪気な表情で手を振る三上でももうかなりグッと来てしまっていたんですが、

もうね…。なんだか上手く説明できない感情だけど、深い喪失感を味わったんだけどなんだかまだ実感が湧かない、でもその後尊いものに触れると、一気に感情が溢れ出てきてしまうあの感じ…本当によく分かります。いや、涙が溢れて止まんねえよ…ってくらい泣きました。

違う作品の話をしてしまって申し訳ないですが、『佐々木、イン、マイマイン』の赤ちゃんのシーンとも通じるものがありましたね。あのシーン本当に良いよね。佐々木の中で一番泣いてしまったシーン。

・ラストシーン

ごめんなさーい!私まだラスト咀嚼出来てなーい!普通に悲しすぎて、切なすぎて、「なんでなの…。」と思ってしまいました。津乃田の「困るんです、いや、本当に…」っていうセリフまんまの感情。(あの津乃田の演技最高でした。)

でも、とにかくとにかく泣いてしまったし、あのタイトルバックの出方に痺れました。あれはね~簡単にはこの映画のことを忘れさせてくれないね。もしかしてそういう意図?それとも、三上がこの社会で生きていこうと初めて自分の感情を捻じ曲げたシーンの後だったので、もうこれ以上そうならないようにってこと?自分の中で納得解がまだ出ていないです…。

これから西川監督の過去作品や、色んな方々の感想ブログ、映画系YouTuberの方感想動画などを観て理解を深めていきたいなと思ったシーンでした。

まとめ

これだけ熱弁した通りとにかく素晴らしい映画で、これからもこの社会で生き続けていかないといけない自分にとって、かなり重要なことを考えさせてくれたな~と感じる映画でありました。

その他にも演者の方々の素晴らしさや、原案となった佐木隆三 著「身分帳」について、パンフレットを読んで知った今作、西川監督、役所広司さん、仲野太賀さんの運命的な関係についてなど、他にも語れる部分はたくさんあるのですが、少し疲れてしまったのでこのくらいで…。笑

ていうか映画の感想を書くっていうのは想像以上に体力と時間を使いますよね。特にこのような考えさせられるテーマの映画については、自分が何を感じたのか、どうしてそう思ったのか、なぜ涙が出てしまったのかなど、自分の内面をすごく掘り下げる作業になるのでね。

でも書き上げた後は非常にスッキリするんです。映画の感想だけでなく、何かしらの自分の考えを文章にまとめるっていうのはすごく心が整理されることですね。これからも「これ良かったな~。」と思った映画があったらセナポンで紹介していこうと思います。

さて、今回紹介した「すばらしき世界」、2月11日に公開したばかりの映画です。全国規模で上映していますし、まだ観ていない人はぜひ劇場に足を運んで欲しいなと思います。

そしてパンフレットも買いですよ!全部で100p以上、映画のシナリオが全部載っていて、たったの1000円です。売り切れていなかったらぜひ購入することをお勧めします。

では本日はこれくらいで~!オハナでした。