こちらの記事で取材をさせていただいた、株式会社新潟家守舎の代表取締役社長である小林紘大さん。(以下、コウダイさん)。
新潟家守舎では、遊休不動産と呼ばれる空き家・空きビルなどのリノベーションプラン事業を展開していらっしゃいます。
そして上記と今回の記事の取材は、新潟家守舎さんのオフィスであるNECONOMA(ねこのま)にて行わせていただきました。
こちらのNECONOMA、築100年以上の古民家を改装してできたリノベーション物件。
新潟家守舎さんが展開している事業が下記の画像の通り3つありますが、NECONOMAはそのうちの1つ「タノクラ」の一環として、コウダイさんが施工のディレクションを担当されたそう。
木に囲まれた空間で、温かみがあって、とても素敵な空間ですよね。大家であるコウダイさんのもと、他にも2社の企業が入居されているシェアオフィスとして利用されています。
ということで、今回の記事では、このNECONOMAがどうして作られたのか、施工をするに至ったきっかけや完成までの流れを、わたくしオハナのリアクションと共に紹介していきたいと思います!
ガンガンコメント挟んでいきますよっ!
INDEX
古いから“壊す”のではなく、より良い形に作り替えて“残す”
まず、そもそもどうしてコウダイさんがNECONOMAを作ることになったのか。きっかけはある古民家との出会いでした。
もともとは住居として利用されていたその物件、住んでいた方が亡くなり、空き物件に。その後その方の息子さんが相続したものの、管理も難しく放置気味になってしまっていたといいます。しかし、家の前の道は車も通ることができないほど狭く、解体・再建築の許可はおりなかったため、解体するにもできませんでした。
わあ~道、本当に狭い……!
また、そういった場所にある物件は通常の不動産売買ルートで売りに出しても購入してもらえる可能性が低いそうです。つまり、壊したくても壊せず、しかも売れず、という困った状態。
ということで最終的に、これまで様々な建物のリノベーションに携わってきたコウダイさんのもとへ、「この物件、購入しない?」と相談のお電話があったといいます。
連絡をいただいたあと、「これまでの経験と知識を使えば、なんとかできるかも!」と、チャレンジ精神に火がいたコウダイさん。 その時点ではこの物件をどう生まれ変わらせるか決めていなかったものの、翌日には購入の意思を伝えました。
その後、 この物件について考えを巡らせた結果、
古い建築物を取り壊したり放置するのではなく、歴史を重んじて残したい。そして、自分が今まで培ったスキルを生かし、この物件を「みんなが愛着を持てる新しいカタチ」に作り変えていきたい !
と考え付いたというコウダイさん。
そのため、この物件は
①築100年を超える古民家でも快適に過ごせるような、断熱性能の高いエコハウスにする。
②未来につながるコラボレーションを生みだすシェアオフィスとして利用する。
ことを目的とし、工事&入居者の募集を始めることになりました。
シェアオフィス……!もともと住居だった物件がオフィスになるのか~。
ここからどう生まれ変わっていくんだろう。楽しみ!
それにあたってシェアオフィスのネーミングとロゴも作成。
「NECONOMA」(ねこのま) とは「Neo Connection is Notable Map」の略。「新たな結びつきは注目すべき道しるべとなる」という意味ですよ。
コピーライトはマルヤマトモコさんに依頼され、可愛らしくて覚えやすいネーミングが完成しました。
ねこのま、ネコノマ、NECONOMA……。なんだか口に出したくなるコロンとした響き!かわいい!
図面作成、解体、工事まで
シェアオフィスとして活用することが決まったら、図面を作成します。熊谷の建築士 白田和裕さんに図面作成、リノベーション方針のアドバイスをいただきながら、完成したものがこちら。
間取りは小さな平家の形状。共有スペース(端にコウダイさんのスペースあり)と、賃貸としてお貸しするお部屋が2つ。それにトイレとキッチンが入る設計です。
それが決まれば、いよいよ工事に入ります。まず手始めに、壁を解体。コウダイさんの元でインターンをしていた学生さんと共に壁をどんどん壊していきました。
おおお!壁がぶち抜かれている……!
続いて、屋根の補修。防水シートをはり、その上から新しい板金の屋根を施工します。色は古民家らしく、ブラウン系の色に。落雪が道路に落ちないように「雪止めアングル」という金具もつけました。
その後、今回のリノベーションで最も優先順位の高かった断熱改修を行います。 地面からの湿気を抑えるために、防湿フィルムを床一面に敷き込みました。壊れていた床下換気口の通気口も新しいものへ交換。
断熱材ってこんな感じで敷くんだね~。
壁に関しても、柱と柱の間に断熱材を詰めていきます。その後、耐震強化のための耐力面材を打ち付け、建物全体の剛性を確保。
だんだんと完成に近づいている!こういう写真ってあんまり見る機会ないから面白いな~。
古民家の雰囲気も残しつつ、機能・デザインともにアップデート。「NECONOMA」完成
こうした作業のあと内装工事を経て、2021年8月ごろに完成したお部屋がこちら。
わあ~~!きれい!
古き良きって感じの部分は残しつつ、床や机・椅子、ライトなんかの部分は現代っぽくておしゃれ。これは新築では出せない味ですね!
断熱材も床下にしっかり敷いているので、夏は涼しいし冬は暖かい。機能面でもバッチリ!節電にもなりますよ。
また、古民家独特の真っ黒な梁(はり:柱に対して、横向きに渡される部材のこと)と床のチーク材の相性が抜群だったと思います。スリッパをはかず靴下or素足で歩いて、この気持ちの良い床を感じてもらいたいです。
梁や縦格子など古民家の雰囲気も残しつつ、洗練された雰囲気がステキです。やわらかい光が室内に注ぎ込まれている景色がとってもいいですよね。
シェアオフィスとして3社が協働している現在
そして、NECONOMAができて半年経った2022年3月現在。少しモノも増え、このような状態になっています。
部屋のインテリアも少々増えて、ますます素敵になってますね!グリーンがところどころに散りばめられているのが良い……。
シェアオフィスとしては僕以外の入居者さんも増え、現在は満室となっています。
また、それぞれ違う会社に所属しているといえど同じ場所を共有するものとして、NECONOMAに入ってくれた入居者さんとは、それぞれの活動がコラボレーションによって発展していくような展開を目指しています。実際にお仕事をお願いしたり、普通の会社のようにNECONOMA忘年会を行ったりして楽しく過ごしていますよ。
こちら昨年度の忘年会の様子です。NECONOMAに入っている入居者さんは、みなそれぞれ会社を少人数でやられている方。そのため、仕事終わりに先輩と飲みに行ったり、年末の大掃除のあと会社で忘年会を開いたり……という「会社に所属しているからこそできた楽しみ」が経験できなくなっていることを寂しく思っていたんですって。
確かに、1人でお仕事をされていると、孤独を感じるときもきっとありますよね……。働くうえでも、誰かがいた方が逆に仕事もはかどる気がします。
そうなんです。だから僕も、一緒に協働できる仲間がほしいとはずっと思っていて……。
あのボロボロの状態からリノベーションして、入居者が入り、こうして新たなコミュニティができたことを本当に嬉しく思っています!
誰も住む人がいなかった空き家が、3社の集まるシェアオフィスとなって生まれ変わり、日々たくさんのアイデアが生まれる場所となっているなんてステキ。ただ、空き家をリノベーションするだけでなく、その後の活用方法まで考えられるということは、広い人脈や発信に長けているコウダイさんならではの強みですね。
まとめ
ということで、今回はNECONOMAがどうして作られたのか、 施工をするに至ったきっかけや完成までの流れ、そして現在の状況などを紹介していきました。
本当に素敵なオフィスで感激!私もこんな空間で仕事できたらモチベーション上がるだろうな~。羨ましい~。
また、このように、「所属している会社は違えど、空間を共有しながら働ける」という場所があるんだなということも勉強になりました。「フリーランスとして独立したいけど、完全に孤独になると思うと不安。」「仕事場には誰かいた方がはかどるんだよね。」という方は、このようなシェアオフィスを探してみるといいかもしれませんね。
そして、コウダイさんはこのNECONOMAのような遊休不動産(空き家、空き物件)を利用したリノベーションや、空間・コミュニティづくりを専門とされていらっしゃいます。
この記事を読んで
・自分が持っている物件も、NECONOMAのような形でリノベーションし有効活用したい
・NECONOMAみたいな雰囲気の建築物を建てたい
と思って下さった方は、ぜひ株式会社新潟家守舎さんのお問い合わせフォームからご連絡ください。
写真撮影:小林千裕
お問い合わせ
社名 | 株式会社新潟家守舎 |
住所 | 〒950-0075 新潟県新潟市中央区沼垂東1丁目8−22 NECONOMA |
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