教育学部へ進学したけど、民間企業への就職を選ぶあなたへ

教育学部へ進学したけど、民間企業への就職を選ぶあなたへ

2021/3/8

突然ですが、私は教育学部出身です。
教育関係の仕事をしていた親の影響と、私自信が学校生活を送る中で「先生」という存在に良い方向にも悪い方向にも大きな影響を受けたことから、小学生の頃には既に「教員になるんだ」と強く思っていました。大学進学時にもその夢は変わらず、国立大学の教育学部へ進学しました。

しかし、私は今、民間の企業で働いています。

記憶は曖昧ですが小学校5年生の時からの夢だとすると、大学卒業まで約11年間揺らぐことのなかった将来の夢。

しかし自分が理想とする教員像になるためには「学校」という場所以外の経験が足りないと感じ、
このまま教員になっても子供に教えられることがないと、その経験を積むために民間の企業への就職を決めました。

このように、教育学部へ入学したけれど、教員の道へは進まないことを決めた学生の方は少なくないと思います。しかし、「教育学」という他学部に比べて狭い分野を学ぶ、ある意味専門的な学部である教育学部。

このような学部に所属していながら、教員という道を選択しないことに不安を感じる学生さんも多いのではないかと思います。


就職活動という人生の選択の場において、学んだ学問の分野とは違う道を選択しようとしているあなたへ。
一個人の考えにはなりますが、私の体験から学んだ教育学部から民間就職への方法・抑えるべきポイントを紹介したいと思います。

教育学部生の卒業先の進路

まずはデータから見てみましょう。3つの大学の教育学部における学生の卒業先の進路をまとめてみました。

東京学芸大学

こちらは東京学芸大学の2020年3月卒業者における進路先データです。

引用:大学受験パスナビ様より「東京学芸大学

東京学芸大学、言わずと知れた教育学に特化した大学です。
就職者数800人に対して公務員就職者数が64人、教員就職者数が347人でありことを考えると、企業への就職者数は400人近くいることが分かります。

早稲田大学

次に、「教員免許の取得を前提としない教育学部」と謳う早稲田大学教育学部の2019年卒業生の進路先データです。

引用:早稲田大学様HPより「卒業後の進路

グラフ左下の本のマークが教員就職をした学生のおよその割合です。7%とだいぶ低い割合。
早稲田大学のHPでは、学長あいさつでも以下のように述べられています。

早稲田大学教育学部は(中略)1949年に私立大学初の教育学部として設立されました。学生数、教員数、教育研究領域の広さにおいて、学内随一の規模を誇る本学部は、他の多くの大学の教育学部とは違い、教員免許の取得を卒業要件としない教育学部です。また、(中略)教育学科(教育学専修・生涯教育学専修・教育心理学専修・初等教育学専攻)、文系・理系それぞれの専門分野の研究や教科教育に対応する国語国文学科・英語英文学科・社会科(地理歴史専修・公共市民学専修)・理学科(生物学専修・地球科学専修)・数学科、既存の枠組にとらわれず新しい知の創造を目指す複合文化学科という、7つの学科から成り立っています。

早稲田大学様HPより「学部長挨拶

新潟大学

最後にセナポンの拠点でもある新潟県の国立大学、新潟大学の2020年3月卒業生の進路先データを見てみましょう。

引用:大学受験パスナビ様より「新潟大学

卒業者数に対して公務員就職者が39人、教員就職者が150人であることから、およそ200人近くが民間就職をしていると読み取れます。これは教員就職者数の150人を超える数値です。

以上の3つの大学の進路先データからも分かるように、どの大学の教育学部でも決して少なくない割合で教育学部から民間就職の道を選択している学生がいることが分かります。
つまり、教育学部であっても広い視野で職業選択をしやすくなってきているのではないかと考えられます。

【面接対策】教育学部から民間就職をするときに気を付けること3つ

ここからは教育学部生が民間就職をするときに抑えておいたほうがいいポイントを3つ、私の実体験に基づきご説明していきます。

なぜ教員の道を選ばなかったのか理由を明確にしておくこと

まず、民間就職を選択した教育学部生に面接で一番聞かれる質問が「なぜ教員にならなかったの?」です。
教育学部を卒業するということはおそらく大半が教員免許の取得を卒業条件として必須とすることでしょう。
免許を取得し、教員という安泰な職を手にする権利を持っているにもかかわらず、なぜ民間企業を選択したのか。
どの業種・職種を受けてもほぼ確実に聞かれる質問です。正解はありませんが、自分なりの答えを持っておく必要があるでしょう。

民間就職で何がしたいのか、目標を明確にしておくこと

こちらは先ほどの「なぜ教員にならなかったか」というのと非常によく似ています。
こちらは「民間企業で何を目標に働いていきたいか」という、企業で働くことに対してポジティブな考えを明確にしておくとよいでしょう。
採用側も、これから共に働いていく未来の仲間を探しているのです。「教員がいやだったから民間企業に就職した」という理由では、採用したいとは思ってもらえないでしょう。

将来的に教員になる可能性があるのかどうかを考えておくこと

最後はこちら。私が就活時代に「なぜ教員にならなかったのか」という質問の次によく聞かれたのが、「将来的には教員になることを考えているのか」という質問でした。
私の場合ですが、将来的には教員になるという目標があり、そのための経験として民間就職を選択していたため、その旨を正直に伝えました。
ありがたいことにその考えを良いと思って採用していただきましたが、そこは企業とあなたとの相性になってくるでしょう。教員を目指すも目指さないも、それを面接で正直に伝えるも伝えないもすべて間違いではありませんが、自分の中の現時点での「答え」として考えておくといいでしょう。

まとめ:教育学部から民間就職は不利じゃない、強みだ

いかがでしたでしょうか。
教育学部から民間企業への就職、決して珍しくはない時代です。
「貴重な人材だ」「面白い選択だ」とプラスにとってもらえることはあっても、教育学部卒ということが決してマイナスになったり不利になることはないでしょう。

人生の分岐点である就職。
私は教育学部を卒業し一旦教員とは違う職に就きましたが、「経験を積む」という目標があるため、企業で働いていても「やってみよう」という気持ちがあらゆる場面で現れ、この選択をしたからこそ得られる経験がたくさんあったと思っています。もちろん新卒で教員になることで得られるたくさんのメリットはもう手にすることができませんが、それでも結果として自分の選択は間違っていなかったと感じます。

これは教育学部の学生さんに関わらず、自分の持つ「知識」だったり「所属」だったりが、
「不利かどうか」ではなく、「どうすれば強みになるのか」を考えてみてほしいなと思います。

もし、私と同じように人生の選択で迷っている方がいらしたら、この記事が手助けになれば幸いです。