コミュ障&人見知りなのに営業になってしまった時、意識すべきコツとは?

コミュ障&人見知りなのに営業になってしまった時、意識すべきコツとは?

2021/1/18

■はじめに ~営業になるしかなかったコミュ障学生へ~

コミュ障なのに、人見知りなのに、絶対に向いてないのに! 営業になってしまった! これから私、どうしたらいいの~!?

……と、叫びだしたくてたまらない人。結構な数いるのではないかなと思います。かくいう僕もその1人でした。

ハタチのアタイ。瞳の奥に映るのは暗黒。こんな奴が営業なんてできるわけがない。

僕は大学の文系学部を出て地元新潟で就職しましたが、地方都市における文系学生は職種の選択余地がほとんどないと言っても過言ではありませんでした(……よね?)。

教職に就くか接客業をするか、あとは公務員。民間企業狙いなら、営業職としての募集がほとんどになります。

なので、僕のようなコミュ障ofコミュ障の社会不適合者も営業職を希望し、絞り出したカスカスの自己PRから理由をこじつけ、「僕は! 営業に! 向いてまぁす!!」と虚構の熱意を生み出さざるを得ない、そんな過酷な現実がありました。

なんとか営業として拾ってもらえたけど、これからやっていける気がしない……。もうダメだ終わった……。売上未達を連発して、数年もしない内に閑職へ回されるんだ……。

と、絶望に打ちひしがれている方々へ向け、今回は僕が営業マンとして働いた中で得た「人見知り・コミュ障営業の心構え」をお届けしていきたいと思います。

■お客様に話をしてもらおう! という意識はNG

僕達営業は「とにかくお客様から情報を引き出して!」とよく言われます。そんな風に言われるとこう思っちゃうんですよね。「向こうに色々喋ってもらわなきゃ!」と。

でもそれは多分違います。意識すべきは「向こうがどれだけ話すか」ではなく、「自分がどれだけ話すか」ということだと思うんですよね。当たり前なんですけど。

おお、聞こえてくるわ聞こえてくるわ。「いやだからその自分から話すのが苦手だっつってんだろーが! 話聞いてんのかこのハゲ!」という罵声の嵐が。まあちょいとお待ちを。言いたいことは分かる。まだハゲてはねーけどな。

人見知り、コミュ障、口下手話下手……。こういう人間こそ、実は自分から話した方が良いのです。理由は2つ。

まず1つ目は、自分から話題を切り出せば、ある程度会話を自分の好きなようにコントロールできるということです。

ここで突然ですが、下記に示した例をご覧ください。1年目の僕がよくやらかしていた失敗です。

僕「あの、あのー、○○さんは、えーと、おお休みの日とか、そのー、何されたりしてるんですか?」

○○「ん? 私はね。釣りによく行くんですよね」

僕「へぇ……」

 会  話  終  了

……みたいなことがね。しょっちゅうあったんですよ。

何が言いたいかというとですね、ただでさえ話せないのに、相手の土俵で勝負仕掛けてどうすんのって話なんです。相手が繰り出してくる十人十色の話題に、僕達コミュ障が対応できるわけがない。それに対応できるなら最初からコミュ障やってないって話でしょ。

だから会話するなら自分の得意分野に相手を引き込むことが大事。そのためには、自分から話題を提示して、場をコントロールする必要があります。

その場さえ整えることができれば、きっと話し出すことはできる。だって少なくとも入社時の面接とかでは喋れてたんだし。そもそも自分の好きなものについてすら語れないような人を会社は営業に回さないはず。

営業という仕事を任されたという時点で、周りの人はあなたの中に「会話する力」を見出しているのです。……という自信を持つことも大事ですよね。難しいけど。

続く第2の理由は、人間はよく知らない他者に対して自分を開示しようとは思わないからです。これは心理的にそうなのです。

皆さんSNSとかってやってますか? Twitterで考えてみましょうか。趣味のことを好きに呟いていたら、知らない人からフォローされた。お、ありがとーと思ってフォローを返した。そしたら突然その人からDMが送られてきた。

「フォロバありがとうございます!」

「前から仲良くなりたいなーと思っていました!」

「年齢っておいくつくらいなんですか?」

「どこ住みですか~?」

「お休みの日って何してるんですか?」

恐くないですか? 何この人怖……ブロックしよ……ってなりますよね。

つまりですよ、人間は、よく知らない人から自分のことを根掘り葉掘り聞かれると嫌悪感を覚えるということなのです。

僕達人見知りは基本的にコミュニケーションに対して受け身のスタンスを取っています。自分からアクションをかける、自分のことを相手に伝えるということを疎かにしがちです。

それでも「仕事だから……話さなきゃ……話をしてもらわなきゃ……」という意識が先行するので、例のように相手にとって何だか気持ちの悪い人になってしまうというワケですね。

それを防止するにはどうするか。とにかく相手に自分のことを知ってもらうほかありません。

仲良くなりたい、仲良くならなければならないと思うなら、思い切って相手よりも先に自分のパーソナルな情報を開示していくことが重要なのです。

■会話のシナリオを組む、十八番の話を作る

いやそれは分かるんだけど、やっぱりどうにも上手く話ができないんだよね……。という声が多数届いたような気もします。その気持ちは痛いほど分かります。

僕も「今日は自分から話す! 自分から話すぞぅ!」と勇んで、

「そ、そういえばアレですよね。あの、ウヘッ、ささ最近寒いですよね!」

と会話を切り出したところ、

「……? はぁ……」

と能面のような顔で返された素敵な思い出があります。忘れてえな。

とまあ、僕の残念な経験が物語っているように、コミュ障がノープランで話し始めると9割9分事故ります。そうならないためにはどうすればいいか。会話の道筋を立てておく。これしかないです。会話の台本作りですね。

慣れないうちは特に話す内容をガチガチに固めておいて、そっくりそのままなぞることを意識するだけで良いと思います。それならば一方的に話しているだけですから、会話ではありません。

会話というのは双方向的なものですから。言うなればこれは単なる発表です。そういう心持ちで臨むと少しは気が楽になるかも。

例えば僕なんかだと、幸か不幸か少し目を引く名前をしているので、自己紹介の流れでなるべく多くの情報を開示することを意識してました。

「初めまして沼尻貞治と申します。はい、王貞治と全く同じ漢字を書いて貞治です。父が付けました。父は野球好きで、私も以前は野球をやっていましたね~。ただ、いまいち上手くなれなくて……運動音痴なもので……今は観る専門ですね。ちなみに横浜ファンです。そうなんです、巨人ファンじゃないです。なもんで今はもうほとんど外で運動とかはしなくなりましたね~。休みの日は家でじっとしてます。なので最近どんどん太ってきて……。ラーメンも好きでしょっちゅう食べるので。2日に1回はラーメン食べてるんですよ~……」

みたいな感じで、連想ゲーム的に自分をさらけ出していきます。この一連の流れでは「野球(横浜)ファン」「ラーメン好き」「インドア」という3要素を伝えようと心掛けていました。

意識すべきことは、思いっきり話し言葉で作ることです。自分が実際に喋る言葉になるので、違和感のないように、自分にとって口に出しやすい言葉とリズムを心がけましょう。

どうしても書き言葉と話し言葉は違ってくるものなので、なんとなくで台本を作って読むと「あ、読んでるな」感が結構如実に出ちゃうんですよね。

「あ」とか「そうそう」とかの、それ単体では意味のない繋ぎとなる言葉も、この「読んでるな感」解消には重要だったりします。こういう言葉も台本に組み込んでしまったほうが良いです。

内容を決めたらあとは練習あるのみ。一人でひたすらブツブツ話しましょう。僕は運転中の車の中とか、いざお客様のところへ向かう前の最後のトイレでブツブツ言ってました。完全に怪しい奴です。

そしてとにかく実践です。同じ話を色んな所でしましょう。数をこなすことで口もスムーズに回るようになりますし、どんな反応、質問が帰ってくるかの予想もつくようになります。予想が立てられれば後は同じ要領で、それに対する回答を作っていくだけですね!

■お客様を敵だとは思わないこと

「敵」とか、仰々しい言い方をしてしまいました。要はあれです。肩の力を抜いて、リラックスしてね。

営業なりたての頃の僕はとにかくお客様が怖くて、ぶっちゃけ訪問するのめちゃくちゃ嫌でした。「明日朝一で約束か……」と思うと前日の夜から憂鬱になるくらい嫌でした。

それは僕がお客様をある種「敵」だと思っていたからで、僕にとっての営業訪問はミスしないように下手打たないように意識してばっかりの場でした。

当然ガチガチに肩に力入ってたし、アホみたいにお硬い敬語使ってたし、ペコペコ頭下げてばっかりいた気がします。

ですが、お客様だって特別ではなく一人の社会人です。自分や、自分の隣の席に座っている同期や先輩や上司と同じです。家に帰れば家庭を持っている人もいるでしょうし、休みの日には昼まで寝てるかもしれません。

だから、こんな言い方は普通駄目かもしれませんが、お客様は別に偉くないよということですね。こちらが下手に出る必要は全くなし。肩の力を抜いて、会社員としての自分ではなく普段の自分の顔も見せられるように振る舞い、話ができたらいいですね。

ただ、もちろんお客様によっては取引先の人間とプライベートな話をするのを好まない人もいますし、そもそも僕らと同じように話すのが苦手な人もいるでしょう。折角作ってきた台本を披露しても、質問も反応も全く帰ってこないということもあるでしょう。

そういう人達に対して無理にぐいぐい行く必要はありません。仲良くなれそうな人とだけ仲良くなれればいいじゃない。

まあ口調が棒読み過ぎてドン引きされただけという可能性も否めませんが……。要練習!

■一人の時間を楽しむこと

次は会話とかじゃありませんが、これ。これ大事。

営業って基本的に個々人で行動するじゃないですか。一人じゃないですか。で、僕たち人見知り勢ってたいてい一人行動が好きじゃないですか。これって結構最高なことなんじゃない?

お客様との約束によってそりゃ多少は行動を縛られますが、休憩をいつ取るか、どこで作業をするか(カフェで仕事するのもオツなもんですよね)等は自分の裁量で決められます。その日の予定に合わせて、お昼にどこで何を食べようか考えるのも楽しいもの。

僕のように地方在住で車移動の時間が長いならもう無敵です。営業車の中には自分しかいません。自分の、自分による、自分のための空間を思い切りエンジョイしましょう。僕は運転中はずっと歌ってました。口ずさむというレベルではありません。熱唱です。俺がいるとこ全てが武道館。

仕事中に自分の時間を持てるワケです。人見知り勢にとって、これは多少の苦労を引き受けてでも欲しい魅力だと思うのですよ。

僕はとにかく運転中に歌いたい! と思っていたので、ラジオしか聞けないオンボロ営業車にBluetoothスピーカーを持ち込んで音楽を大音量で流し、それに負けないくらいの声量で歌っていました。

あとはラーメン屋巡りも仕事のついでに行うようにしていましたね。お昼の時間は1日で1番好きな時間でした。ラーメンは大好きなのですが、基本出不精なので、ちょっと家から遠い店だと休みの日でも行かないんですよね。これは営業をしていたからできたことだと思います。

……と、言うように、嫌だな~と思う仕事でも、「あ~この仕事で良かった!」と思えるような点はきっとあるはずです。嫌な点ばかりに目を向けるのではなくて、自分のとって良いと思える所を探し、その点をフォーカスして広げていくと、多少は仕事に対する抵抗もなくなるのではないでしょうか。これは営業に限らず言えることですね。

■まとめ

さて、ここまで偉そうなことをつらつらと書いてきましたが、実は僕、営業をたったの2年間しか経験していません。そんな薄っぺらい経験で何語ってんだよと指摘を受けそうです。もちろん、営業成績を伸ばす具体的方策なんてのは僕には逆立ちしても紹介することができません。

しかし、汚泥のような学生生活(少なくとも今の会社の中ではトップクラスに悲惨な青春を送っている自信があります)を経て営業に配属されてしまった僕だからこそ伝えられることがあるはず。

既にやる気と才能と高い能力を持ち合わせた営業マンを更なる高みに……ではなく、畜生マジかよ嫌だなあ辞めちまおうかなあと布団の中でうだうだ考えながらスマホをいじっている営業マンに、この記事を捧げます。

案外人生何とかなるって!